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【第162回】「GOoD Design」

「若い時から建築と同じように科学が大好きで、自然や宇宙の仕組みを追求していた」。建築家フォーラム第162回(2017年10月17日)の講演者、鈴木エドワード氏はそう話を切り出す。講演は、40年来の作品を振り返るパート1と、氏の自然・宇宙観を語るパート2という2部構成だ。

米国留学を経て1977年に丹下健三・都市・建築設計事務所から独立した当初は、アナーキーとアーキテクチュアを組み合わせた「アナーキテクチュア」という言葉を掲げて創作活動に臨んだ。

オフィスビル「アルテリアデザインスタジオ」(東京都渋谷区、1986年)や複合ビル「ジュールA」(東京都港区、1990年)などの設計を通して意識するようになったのが、インターフェースのあり方だ。パンチングメタルやフロストガラスなどでスクリーンを設け、周囲の都市空間と建築の接点をいかに関係付けるかを考えた。

「ところが「インテーフェースはオリジナルのテーマと思っていたが、あるときこれは現代の縁側ではないかと気づいた。以来、伝統的なボキャブラリーを新しい素材やテクノロジーに置き換えてデザインすることをポリシーにしてきた」と鈴木氏は振り返る。具体的には、日本の伝統的な暮らしのなかで育まれてきた、縁側、借景、月見台、坪庭、にじり口、床の間、囲炉裏、庇、障子・格子・簾、自然通風、露天風呂、あかり・行灯・提灯という12の知恵を抽出。これらがもたらしてきたコンセプトやノウハウを発展させる設計を試みてきた。

 こうした視点を前提に、鈴木氏は国内外で設計した30の実例を一気に紹介した。個人住宅から店舗、ホテル、オフィス、駅舎など建物の種類は幅広い。

当初の都市の建築では、雑然とした外部との緩衝地帯とする目的でスクリーンを設けることが多かった。一方、周辺環境に恵まれた場合は、一転して「外を積極的に取り入れるインターフェース」を設定した。大草原に向けて広々としたガラス開口を設けたロッジ式高級ホテル「ムパタロッジ」(ケニア、1992年)はその好例だ。またインターフェースの仕掛けに採用する材料も、当初のアルミなど硬質な素材から、竹や簾などの自然素材へと広がりを見せている。

 事例紹介の後は、企画担当幹事の国広ジョージ氏が「建築を超越した話」と表現するテーマへと話題を転じた。

 神による最大のデザインは自然と宇宙。鈴木氏は「エコノミカルであり、エコロジカルであり、ゴミが出ない」デザインを「GOoD DESIGN」と呼び、最小限のエネルギー消費で最大の効果を得るデザインを追求すべきと話す。そして、建築デザインを支える根源は「愛」であるとも。

 「人間である限り、幸せになることが目的。小さい感動の積み重ねによって、一人でも多く、少しでもたくさんの幸せを感じてもらえる環境づくりをしたい」という言葉とともに、鈴木氏は講演を締めくくった。

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