建築批評の真の役割への提言
建築批評の真の役割への提言
2001年度日本建築学会・東京大学建築歴史・意匠研究協議会
9月23日(日)9:00-12:00 東京大学工学部8号館 教授会室
(情報公開なくして建築批評なし)
”確固たるジャーナリズムの存在と健全な批評が建築文化を築いていくうえで肝要である”とアンケートのレジュメに記されている。
いま、この国の建築ジャーナリズムは是々非々を明快に打ち出して批評精神に打ちされた元気のあるジャーナルを発見することは困難である。
今回のパネリスト(予定)に松葉一清さん(朝日新聞)が参加され”建築批評の真の役割”について語られることに大きな期待を寄せている。私が主題として関心を寄せているのは沖縄の国立組踊劇場コンペの不祥事であり、珍しく朝日新聞紙上で荒川記者がとりあげ族議員の介入に疑義を提示し建築界でも一部で話題になったが、肝心の建築家たちの反応は見当たらず、建築ジャーナリズムもなぜかアンタッチャブルとしてか、情報公開を求める気配もなかった。
このコンペは100億を超える公共のビックプロジェクトであるだけに一次審査を通った7社の建築家たちは、仙田、池原さんをはじめ実力のある著名な人々であった。現地沖縄でヒヤリングを行うという形式的には好ましい手続きを踏みながら、専門評価委員の清水(名大)、福島(琉球大)教授らの判定は無視され、審査委員会では突然、評価の低かった高松案が浮上し、その不可怪さを朝日新聞が指摘した。
にも拘わらず、建築ジャーナリズムも、職能団体としてのJIAもいつものようにノーコメント。6社から情報公開を求める連帯行動も生まれない侭、何事もなかったように工事は既にはじまっており、コンペ応募案とは異なるものとなっている。